エンドロールには早すぎる

ドラマや映画やゲーム。どうしてそれが面白いのかを考察します。

『THE BRIDGE/ブリッジ』S1感想。鉛の空、冷たい風、心の燠火。

『THE BRIDGE/ブリッジ』(原題『Bron/Broen』)は、スウェーデンデンマーク合作のテレビドラマ。シーズン4まで制作されている。
舞台はスウェーデンデンマークの両国。二つの国を結ぶ橋で、国境を跨ぐように切断された遺体が発見される。この謎の事件を相手に両国の刑事が共同で捜査に乗り出すことに。その中で、北欧の社会問題や個人的な問題が取り上げられるのだが…

シーズン1で割と綺麗に終わっているので俺はシーズン2以降を見ていない。
数年前に見たドラマで記憶があやふやだが思い出を掘り起こすようにしていこう。
(見返そうと思ったらなんとNetflixにもAmazonPrimeにも配信されていない。契約期間が切れたのだろうか。前は配信されてたハズだが……残念)

まず何よりも、俺の中で印象に残っているのが主題歌だ。今でもたまに聴くくらい大切にしている。

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Hollow Talk / Choir of Young Believers
これは本当に名曲。あまりにも名曲すぎるため、ドラマのオープニングにもエンディングにも使われている。
特にエンディングへの入り方が、凄くセンスを感じて最高。

youtu.be

↑トレーラー。
これだけ見てもわかるが、映像がなんていうか、薄いよね色素が。でもそれが北欧ミステリってカンジで、逆にアガる要素でもある。寒風吹きすさぶ土地の空気感をよく表している。
この空気感だけでも価値があると思う。

主人公は人の気持ちがわからない病気の女性刑事。恐ろしく有能な女性だが、融通が利かず、孤立しがち。このドラマは彼女の成長物語でもある。
まず俺は、この主人公サーガに対して苛立ちを覚える。それは、彼女に対する理解のなさに起因する。象徴的なのが「救急車は法に違反する」事件。救急車で橋を渡りたい老婆がいた。だが橋は先の殺害事件で封鎖されてしまっている。マーティン刑事は見かねて救急車を通させるが、サーガはそれを規定違反だと咎め報告書まで提出する……。彼女は明らかに問題がありすぎで、人に対しての思いやりが全くないように見える。人に聞かれたくない類いの話を人前で平然としたり、物事をずけずけと言いすぎたりして、周囲からの反感を買う。目の前の人間に対する思いやりよりも、事件の解決を優先する。カウンセラーとかそういう職業には全く向かないタイプの人材だ。俺はサーガの相方マーティンに共感する。マーティンは酸いも甘いも噛み分けたベテラン刑事で、空気の読めないサーガに諭すように接する。
だが最終話の頃には、このサーガというキャラクターが、めっきりお気に入りになってしまう。彼女に幸せが訪れてほしいと願う。こんなことはなかなかない。成長物語の中で、サーガは最高のキャラクターに仕上がっている。


以下ネタバレあり

言えねえよなぁ

みんながみんな、真実を聞きたいわけじゃないんだ……
そうマーティンに言われたことを、サーガは心に留めていたのだろう。

最高のクライマックス。
事件の真犯人に息子を誘拐され、怒り狂うマーティン。そして橋の中(支える部分?)で、マーティンは真犯人を撃ち殺そうとする。サーガはその現場に駆けつけ、息子を見つけた、と言い、もう撃つな、とマーティンを諭す。
マーティン「息子は生きているか?」
サーガ「生きてる」
マーティン「本当に生きているのか!」
サーガ、顔面を歪める。俺は感極まり涙を流す。
これは……今でも思い出せる。言葉にし難い気持ちにさせてくれた名ラストシーンだ。正直他のシーンがあまり覚えていないのだが、このシーンだけは格別で、最高だった。

あー、もっかい見返したいなぁ。S2以降とか結局見てないし。
このドラマ、提起する社会問題がなかなか面白くて惹かれるわけだが、それを考えた真犯人の動機は外野からみたらしょうもない(当人たちにとってはもちろんしょうもなくない)個人の問題に起因しているというのも、ニクい演出だ。
北欧産の、傑作ドラマです。

THE BRIDGE/ブリッジ DVD-BOX

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