エンドロールには早すぎる

ドラマや映画やゲーム。どうしてそれが面白いのかを考察します。

『新感染』感想。三回泣いた

前々から気になっていたものの特に見てなかった映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』(原語の直訳:釜山行き)がNetflixにあがってたので視聴。
正直なめてたわ。電車の中でゾンビパニック? うーん…みたいな。でも結局、めちゃくちゃ面白かったし、泣けた。どんくらい泣けたかと言うと、3回泣いた。

そんなに性格の良い奴でもない証券会社務めの親父と、忙しい親に構ってもらえず淋しい思いをしている子供が主人公。
これは、そんな親子愛の物語だ。
親父が、根は悪くないものの、人生を過ごす中でだいぶやつれ、良い親父とは言えない男なのが渋い。
娘のプレゼントをダブらすわ、他人を簡単に見捨てるわで、視聴者の敬意を集めるタイプの主人公ではない。

渋いと思ったポイントを一つ。
ゾンビパニックが車両から次の車両へ感染していく中、主人公一行が命懸けで安全な車両にたどり着いた時、無恥と偏見からそこの人々は主人公一行を撥ね付けてしまう。
明らかに醜い光景だが、主人公は何も言わなかった。「ふざけるな!」と声を荒げたりしなかった。ただ茫然とした表情で状況を見ていた。きまりが悪くて何も言えなかったのだろう。
「自分が、逆の立場だったなら…」
連中が醜いことは主人公が主張しなくてもわかることだし、敢えて静謐にしてて、渋くて、神聖な雰囲気の漂ってた、良いシーンだな、と思った。

厳しいシーンが続く中、とうとう主人公の最期のシーンが訪れる。
これがもうっ…神聖で、良い。
子供の言葉って本当にパワーがあるよね。

それと野球部の少年や恰幅の良いおっさんがカッコ良くて、一人一人のキャラが立ってて、見所満載で面白い。
満足度の高い映画でした。

ゾンビサバイバルガイド

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『壬生義士伝』感想。戦う男の生涯

 Netflixで『壬生義士伝』を鑑賞。浅田次郎の小説が原作で、滝田洋二郎の監督作品。
あらすじはこうだ。医者を訪れた訳アリの老人が、そこで昔の仲間の写真を見つけ、同じく訳アリの医者と昔を懐かしむ。そこには幕末の新撰組の苦い歴史と、金に目がないわりに吝嗇な一人の男、吉村貫一郎の物語があった…

時代劇が好きじゃない。
科白は古めかしくて難しいし、みんなわけわからん髪型をしてるし、時代背景もチンプンカンプン。実在の人物を名も変えずフィクションの中で動かすというスタンスも好みに合わない。
だけど面白かった。よく見れば科白も恰好もカッコいい。時代背景なんて後で調べれば済む。実在の人物の名前とか気にならない。
斎藤一はカッコいいし、吉村は割にふらふらしてたけど、味と魅力のある男だった。
俺も吉村みたいに同僚に生まれと家族の自慢をする退屈な男になりてえなァ。
でも斎藤みたいにクールでぶっきらぼうだけど器がでかくて実は暖かい心も持ってるみたいな男にもなりてぇよ。
この二人の友情とも言えない絶妙な関係がいいんだよな。「同志」って感じ。
終盤に斎藤一が吉村の娘、みつに何を思ったのか「吉村先生…ありがとう」みたいなことを瞳に涙を浮かべながら言ってたんだけど、俺はそこでとうとう耐えかねてボロボロ泣いた。佐藤浩市の演技に泣かされました。

殺陣の多い映画だったけど、不快な人物もおらず、明確な敵もいない。派手な戦やどんでん返しもなく、怒鳴り声も皿の割れる音もない世界。
ただ思い通りにいかない世の中を生き、目の前で起こる問題に対処し、自分に一つ芯を持って生き続ける…そういう男の生き様を見せつけられる映画だ。だから俺の好きな映画になった。
人のカッコいい生き様が見れる作品って、それだけで俺の心に響く。

たそがれ清兵衛や」「隠し剣 鬼の爪」を見て、時代劇=俺のよく知らないジャンルに対する偏見も取れてきて、結構面白いなぁと思いながらこの「壬生義士伝」も見たけれど、昔を舞台にした作品って全然イケるなと確信した。時代劇なら次は何を見ようかな。

壬生義士伝(上)

壬生義士伝(上)

壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)

壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)

『キングダム』(Netflixドラマ)感想! 時代劇×ゾンビという”扉”。超面白い!

このドラマ。
Netflixのサイトに出てきた時は、漫画キングダム(集英社)の実写版かと勘違いした。なんで韓国で実写化?と思ってた。でも違う。漫画キングダムとは実は一切関係がない。原作は韓国のオリジナル。
普通の時代劇かなぁと思って予告を見たらどうも様子がおかしい。古めかしい衣装に舞台。時代劇なのは間違いないが、人は死体が蘇ると言う。むくりと起き上がる死体。動く死体に群がられ、食べられる人間……まさかのゾンビ・スリラー。
時代劇×ゾンビというジャンル。しかも俺は韓国ドラマを観たことがなかったので、凄く新鮮な気持ちで鑑賞。


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正直1話試すだけと思ったが、マジでめちゃくちゃ面白くて全6話を一気見してしまった!
全6話なのでサクッと見れる。
主人公は王の長男で世継ぎだが、王は危篤状態にありその立場は危うく、決定的な事件によって追われる身になる。腹心の部下を連れて王の面倒を見たという医者に会いに行くのだが……死者が蘇り人を襲うという、恐ろしい事件に巻き込まれていく……
主人公と腹心の部下はゲーム・オブ・スローンズのスタニスとダヴォスのようで愉快なコンビ。

何が良いって、まずは映像だろうか。
一言、綺麗。
安っぽい感じが全然しないんだよね。しっかりと映像学んでる人の作品って感じがする。
粉塵舞う貧しい村から、荘厳な宮殿までよく描画できている。小物の一つ一つを入念に配置している気がする。見ているだけで楽しめる。
個人的には敵の衣装がヤバいくらいカッコよかった。あの赤い帽子を被り紫の装束を纏い剣を携え弓を背負い馬に乗る……いやー、かっこよすぎるね。
見慣れてなくて新鮮ってのもあるかもしれないが、どれもこれもすごく衣装センスを感じた。

一人だけ知ってる役者がいた。
薬草医のソビを演じる、ペ・ドゥナ
彼女はセンス8でサン役をやっていたので知っている。
サンも相当良い役だったが今回のソビも良い役だ。
俺って役者とか割とどうでもいい人なんだけど、ペ・ドゥナは好き。

脚本はテーマがはっきりしていてとても好印象。
主人公はたびたび苦しい状況に置かれるものの、私利私欲を肥やす役人たちとは自分は違う、私は民を護ると、正しくあろうと努力することで成長していく。
宮廷の陰謀と権力争い的な側面がある一方、末端の村々の貧しさが大いに描かれる。飢え死にしそうなほど苦しんでいるまさにその時、ゾンビパニックという最悪の事態が発生してしまうわけだ。
人の命に貴賤無し。正しくあろうとするとはかくあるべきだと、この主人公は教えてくれる。

それと展開が早くていい感じだ。
第1話はゆったりしてるけど、第2話からは面白さに拍車がかかる。
全6話だけど特に第2話のワクワク感はやばかった。
斬り合いが見応えあんのよ。

ゾンビ物は世の中に溢れかえっているけど、この作品はかなり自信を持っておすすめできる。
面白い。

ただし!
シーズン2をはやく配信しろと言いたい。いつになるんだろう?
物語が完全にいいとこで終わってしまってて、辛い。

ゾンビサバイバルガイド

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空気人形 [Blu-ray]

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『セックス・エデュケーション』が割ガチ面白くて一気見した

Netflixに地味にセックス指南系の番組が多いことは、契約者の人ならとうに気付いているだろう。例えば、『世界の今をダイジェスト』という番組では女性のオーガズムについて18分絶え間なく紹介されたし、『センス8』ではLGBTQ、セクシャル・マイノリティについて否応なく考えさせられた。ある日男女の価値観が逆さまになるという『軽い男じゃないのよ』という映画まである。”性の解放”は流行りの要素で、最近の作品にはほとんど全てこの要素が入ってる。今回記事にするドラマはその点において潔いタイトルだ。『セックス・エデュケーション』。日本語にすれば”性教育”。高校生のガキんちょがセラピーで同級生から金を稼ぐという内容らしく、しかもセックスが専門だという。
ま~たティーンのドラマかよ~と思いつつ、気になったのでimdbで調べたら8.6と意外と高評価。評価につられて見てみる。
……めっちゃ面白かった。
感想。

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↑トレーラー。

まずこれは、ラブコメだ。
性的多様性の味付けがあるものの、基本的には少しひねくれた主役二人の恋の行方を追うドラマだ。
主人公・オーティスはどこにでもいる普通の高校生。ただし、母親の職業はセックス・セラピスト。家にあるものはことごとく卑猥か、よくて官能的と言えるものばかり。壁はセックスのアートフレームが掛けられ、本棚はずらりと並んだ”性”の辞書の重みでたわんでおり、置けるところにはどこでも性器のオブジェが置いてある。しかし本人は性に消極的。童貞はもちろん、マスターベーションさえままならない。
そんな主人公の隠れた才能を見つけるのが本作のヒロイン・メイヴだ。彼女は、どこにでもいる女の子とは言い辛い。自分なりの哲学を持っている、歳の割に賢く、大人びた女の子だ。世間の冷たい風を容赦なく浴びてきており、かなりやつれてはいるものの、本当はとても優しくて純粋な一面もある。彼女はトレーラーハウスに住む貧困層に属しており、文字通り日銭を稼ぐ必要に迫られている。そんな中、メイヴはオーティスの才能はビジネスになるのではないか? と思いつき、彼に話を持ちかける…
こうしてメイヴとオーティスは校内で秘密の”クリニック”を始めた。彼らはセックス・セラピストとして、性の問題に悩む同級生を助ける活動に従事していくことになるのだが……

一風変わったラブコメを観たいという方には是非おすすめしたい一作。
見終わったら、今すぐにシーズン2を見せろと言いたくなるだろう。
あのような終わり方で納得する渋いティーンがどれだけいるのか、はなはだ疑問だ。


さて、このドラマに登場するキャラは非常に性的多様性に富んでいるものの、それぞれの抱える問題にそこまでディープに切れ込みを入れるわけではないのである意味では安心して視聴できる。
第1話ではセックスの最中に男に射精したふりをされるという衝撃的な体験をした女の子から話を受け、上手く射精できない男の子の悩みを「お前はお前だ!」理論で難なく解決する。(この二人は今後も頻繁に出てくるがシリーズでも面白いキャラなので終始注目したい)
脚本の思い切りがいいから、重くなりがちなテーマをふんわりまとめ上げ、ストレスなく視聴できるように配慮されている。
本当に面白いドラマだった。多様で、強烈な患者がばんばん出てくるので飽きないし、主役二人の関係は、とうとい。
主役二人が本当に魅力的! これはラブコメでは稀有なことだと思う。本当に魅力的。
ちなみにこのドラマはイギリス製。


以下、ネタバレあり。

性に翻弄されるティーンたち


オーティス
童貞なのにセックス・セラピストを始める羽目になった男。主人公。生態ピラミッドで言えばカンガルーやアルマジオだと自称。
でも陰キャのあるべき姿を教えてくれる男。
凄く魅力的な男なんだよ。どうしてこの強烈な題材のドラマでストレスが溜まらないかと言えば、このオーティスが賢いことにある。
これはメイヴが一番感じてると思うんだけど、オーティスは相手の気持ちになって考えられる男なんだよ。そして愛も重くない。相手の気持ちを尊重し、自分の考えやしたい事を決して押し付けない。ティーンなので失敗もあるが、すぐにやらかしたことに気付き悶え始めるのがかわいいポイントだ。世間一般に流されないタイプで、そこがメイヴと共有している価値観。
俺、陰キャの主人公ってあんまり好きじゃねえのよ。ぐだぐだ悩んだりマジうぜぇって感じ。特にラブコメの場合しょ~もない男がハーレム築いててナマラきめぇ、みたいな。でもオーティスはマジで最高!
物語が進むにつれ、オーティスの才能には磨きがかけられていき、彼の魅力に周囲も密かに気付きはじめる。オーティスがシーズン2でどうなるか楽しみで仕方ない。

メイヴ
絶世の美女というわけではないものの、男が放っておかない魅力を持つメインヒロイン。生態ピラミッドで言えばライオンやトラ。
当然のようにセフレを持ち、密会して金を受け取り、賭けをしてガンジャ(たばこ?)を吸う……こう書くととんでもない女に見えるかもしれないが、不快な要素の一つとしてない珍しいメインヒロインだ。
ブコメってさ、メインヒロインが一番良いヒロインなことってなかなかない。サブヒロインの方が魅力的だったりするわけだが、本作では自身をもってメインヒロインが一番魅力的と言える。
それは彼女の境遇を知り、彼女に感情移入ができ、彼女の本質的な部分が要所要所で垣間見えるからかもしれない。優秀で、生き抜く術を知っており、誰よりも賢い。一方、したたかそうに見えて、自分を主張することが少ない、実は不器用な一面もある。周囲からは怖い女の子だと思われているし、実際そう振る舞っているものの、本当はとても優しい心の持ち主。マイナスのように見えるかもしれない部分は実際全然マイナスじゃない。メイヴはそういう女性だ。
ちなみに第三話でさらっと妊娠中絶している(多分。詳しくないからよくわかんなかった…TT)。壮絶な体験のはずだが、割にさらっと流された。もし普通のドラマであれば、クライマックスにもかかわる重要な展開として、何話もぐずぐずと時間をかけて思い悩み、周りの懸命な助けと自分の心の底から湧いてくるものをようやく信じて、決断を下す…みたいな流れになるだろうが、『セックス・エデュケーション』は違う。こんなのは、どこにでもあることなのだ。病院で誰も迎えに来ないと冷めていたメイヴの前にオーティスが現れ、一緒に過ごしてくれた時、彼女の心には何が起こっただろうか???
一番心に残ったのが、兄の罪を庇って退学の危機に瀕した際、校長室で放った言葉。偉い立場にいる連中が集まった異様な雰囲気の中、「私は聡明です。家庭環境が不運だっただけです」と言い切った。主張できたな、メイヴ。泣いたわ…TT 誰もが、戦う彼女を応援する気持ちになっただろう。ただし彼女の処遇はシーズン2に持ち越し。しかも校長は退学派だ。マジかよ。
最終話のラストシーンは、切なかった。メイヴはようやく自分の本当の気持ちに気付き、オーティスの許へ向かうものの、時・既に遅し。別の女性とよろしくやってるオーティスを目撃し、内心倒れそうなショックを受けながら(多分w)家に敗走するメイヴ。うわ~可哀想。まあ、これでイーブンとも言える。自分がジャクソンと付き合い始めた時、オーティスが抱いたまさにその気持ちを、彼女も味わった。
これでシリーズが終わったら教訓的で渋いドラマに仕上がっているがまず間違いなくシーズン2がやってくるはずだ。
最高のエピソードではあるものの、このような終わり方では、誰もがシーズン2を所望するだろう。


エリック
物語の後半、キツイことが起こるわけだがそこが見所でもある。
彼のストーリーラインはあくまでもサイドなんだが、物語の初めと終わりでは彼もだいぶ変化しているので、注目したいキャラ。
どうでもいいが彼の父親はゲーム・オブ・スローンズでアリオ・ホター役もやっている。

ジャクソン
生徒会長。主人公の恋敵。普通にいい奴。
将来有望な優等生だが、彼もまた、自分を取り巻く環境に苦しめられていた。周囲の期待を押し付けられ、二人の母親は離婚の危機にあり、ジャクソンが結婚の細い糸を繋ぎ止めている。
あまりに魅力に溢れているため童貞のライバルとしては途轍もなく強敵。とは言えオーティスもまだ若く、実は女の子を虜にする才能のある男なので、いくらジャクソンでもうかうかしていると自分の女を掠め取られかねない。
というかもう最後にはそんな感じだ。普通にいい奴なので、切ない…

アダム
第1話の彼を見ると、物語の典型的なルールに従ったキャラだと思える。だが残念ながら、最終話まで彼は一貫して自分の立場や心に対する不安に悩まされており、解消されることは終ぞなかった。
みんながみんな、ハッピーエンドで終われるわけじゃないんだ。
問題が一つ解決したと思ったら、それがさらなる問題を生み、抜け出せなくなる。何もかも上手くいかないなんて、人生ではよくあることだ。
そうとは言え、あまりにも切ないキャラ。結局、彼はまともに更生できなかったので、この結末も仕方なしっちゃ仕方なしなんだが、そこがまた、物哀しい。まあ、ハイスクールで人生が終わるわけじゃない。頑張れよ。
(と言いつつ、シーズン2になったらしれっと学校に復帰してそうな気もするぜw)

エイミー
中々の尻軽だが憎むことのできない女の子。
日本人の共感を呼びそうなキャラクター。
彼女は常に周りに翻弄されて生きている。常に演技することを強いられているのだ。彼女は心の底からセックスを楽しんだこともなければ、一緒につるんでる上級グループの連中と心を通わせたこともない。切ない。
だが最後には、上級グループに属することよりも本当に友達になれそうなメイヴと共にいることを選び、周りに何を言われても気にしなかった。かっけえ。


意外にも、本当に面白いドラマだった。
Netflixは値上げの嵐でイラっとするし、コンテンツに「NETFLIX」のロゴが付くのが気持ち悪いが、替えがきかないわ。


19.2.2追記
シーズン2のアナウンスが公開!
youtu.be
楽しみ!


性体験

性体験

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』S2感想。ただ一言。面白い。

ストレンジャー・シングス』はもはやNetflixの看板タイトルになった感がある。実際めちゃくちゃ面白いドラマで、Netflixに加入していたらまず観たいオリジナル・シリーズだ。
このシリーズがつい先日、S3の配信日を発表した。2019年7月4日。想像より先。今頃は見られると思ったけど、まだ半年も待たねばならない。どうやら1年半スパンでシーズンが更新されているようだ。待ちきれねえな。
S1も面白いが、今回はS2の記事。しっかりパワーアップしてて見応えあり。

youtu.be

S2の感想を書いていこう。

完璧だ。そして1年後…という感じが自然に受け入れられた。もう一度言いたい。完璧だ。
ドラマにありがちな、ぐだぐだと、しょうもない展開が延々続く…というようなこともなく、無駄に奇を衒った展開にしたりもせず、装填した弾丸はちゃんと放たれる。脚本は丁寧に進められる。
「品質」の高いドラマだ。

(あとどうでもいいんだけど、やっぱり思ったのが、アメリカでの学生生活ってマジで大変そう・てコト。
このドラマに限らずなんだけど、アメリカの学園生活を描くドラマや映画を観ると、俺はアメリカでは生きていけないだろうな…って毎度毎度、思うわ。
なんなん、こいつら? すぐにパーティーしすぎだろ。何かあるたびにみんなで集まってパーティーパーティー。
最後の方のスノーボール? ダンスの集会とか、なにあれ? 日本でも野外学習の夜にキャンプファイアーの周りでフォークダンスとかあるけど、その比じゃねえぞ。ガキの頃からあんな環境に放り込まれるて。そりゃ、根っからのパリピに育てられるわ。パリピの国、アメリカ…)


以下ネタバレあり

魅力的な新キャラクターたち

語るべき主役たちがいるものの、S2だし新キャラについてメモしよう。

ボブ
なんだこいつ? 急に現れて…
当初、俺の心はジョナサンとリンクしていた。いまいち好きになれねえ男だな…
だが物語が進むにつれ、俺は過ちを認める。普通に善い奴かよ。実際めっちゃ善い奴だろこの人。ウィルに勇気を与え、ジョイスを支え、異常な世界に引き込まれた時すらも喚き立てたりせず冷静で、最期まで仲間のためにひたすら動く…カッコ良すぎか。
ホッパーもボブのお陰で助かったようなもんだしな。しかも2回。要所要所で有能な働きを見せてくれた。が…
どうして彼が死ぬなんてことが起こってしまったのか? かわいそう。
S1でのバーバラといい、普通に善い奴系の一般人が死んでくのはなんなん? 伝統なん? S3でも恐らく誰かが犠牲になるだろう。今から怖い。いやいいんだけどね。
いいキャラだった。

マックス
「オタクの僕の前に現れてほしい理想の女子感」がヤバいww
いやマジで、こんな同級生がいたら年頃の男子はみんな夢中になりかねない。
転校したばかりで孤立しがち、ゲームやスケボーなど少年系の趣味を好み、気が強くしたたかな性格だが、複雑な家庭事情を抱える…といった王道なキャラなんだが、正直俺は舌を巻いたね。渋い。脚本家が参考にするべき新仲間キャラという感じだ。俺が脚本家なら参考にする。こういう新しく輪に入ってくる系のキャラが取り立てて大活躍するというわけではないのが、わかってるねぇと思った。「ウザさ」がないんだよね。「なんや、このぽっと出。要らんわ」感がない。むしろもっと積極的に関わってほしい感じが、上手く焦らしてるなと思った。まあ、主役の子供4人がいいキャラしてるのもあるんだけどな。
ということでマックスもいいキャラしてるんだが、まだ本当の仲間に収まったかは怪しい。ルーカスやダスティンとは信頼関係を育んだが、マイクやウィルとは心を通わせてるとは言えない。イレブンにとっては論外だ。S3での立ち回りが気になるキャラだ。助っ人という立ち位置だけには終わらないでほしいタフなキャラ。

ビリー
説明不要のヤンキー。でも親父には怖くて逆らえねぇ。
キャラ強いから活躍するかと思ったら裏の世界には全く関わらないまま地味な役割に終始してしまった。
でもこいつはS3でしれっと大切な役割を果たしてくれそうな気がするぜ。きっと更生する時も来るだろう。もう妹に怒鳴るなよ。

博士
胡散臭すぎるだろ。絶対敵だな…からの普通に善い奴。
周りの研究者がウィルが死ぬのは仕方ない、腹を決めろと迫る中、この博士だけはそんなことは許さん、二度と言うな、などと宣言した。ホッパーに親権を与えるように手を回して、イレブンを実験動物のように研究室をたらい回しにされる危険から保護した。立場の難しい連中の中にも人の心が通ってる存在もいることを見せてくれたナイスガイ。
このドラマ普通に善い奴多すぎだろ。生き残ってよかったわ。

探偵
バーバラの両親が雇った凄腕の探偵。
あんま語るようなことはないがホーキンズと世間を繋ぐ橋の役目を果たせる男。例にもれず善い奴。
こういうキャラはS3やS4でもしれっと活躍しそうな気がするぜ。

カリ
イレブンの姉貴。
こいつの一党がどいつもこいつもキャラが立ってて面白かった。スピンオフを一本仕立てあげてしまえるくらいの世界観だった。
また後々のシーズンで出てくるだろうか? いや出てこないなんてことは、ありえねえわな。いつかこの姉妹が、お互いに向き合う時が来るはずだ。


こうして挙げてみると、新キャラがことごとく魅力的に仕上がっている。すげえな…
「品質」の高いドラマだ。

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↑主役4人が歌ってる。一瞬で俺のお気に入り動画になったw

『THE BRIDGE/ブリッジ』S1感想。鉛の空、冷たい風、心の燠火。

『THE BRIDGE/ブリッジ』(原題『Bron/Broen』)は、スウェーデンデンマーク合作のテレビドラマ。シーズン4まで制作されている。
舞台はスウェーデンデンマークの両国。二つの国を結ぶ橋で、国境を跨ぐように切断された遺体が発見される。この謎の事件を相手に両国の刑事が共同で捜査に乗り出すことに。その中で、北欧の社会問題や個人的な問題が取り上げられるのだが…

シーズン1で割と綺麗に終わっているので俺はシーズン2以降を見ていない。
数年前に見たドラマで記憶があやふやだが思い出を掘り起こすようにしていこう。
(見返そうと思ったらなんとNetflixにもAmazonPrimeにも配信されていない。契約期間が切れたのだろうか。前は配信されてたハズだが……残念)

まず何よりも、俺の中で印象に残っているのが主題歌だ。今でもたまに聴くくらい大切にしている。

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Hollow Talk / Choir of Young Believers
これは本当に名曲。あまりにも名曲すぎるため、ドラマのオープニングにもエンディングにも使われている。
特にエンディングへの入り方が、凄くセンスを感じて最高。

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↑トレーラー。
これだけ見てもわかるが、映像がなんていうか、薄いよね色素が。でもそれが北欧ミステリってカンジで、逆にアガる要素でもある。寒風吹きすさぶ土地の空気感をよく表している。
この空気感だけでも価値があると思う。

主人公は人の気持ちがわからない病気の女性刑事。恐ろしく有能な女性だが、融通が利かず、孤立しがち。このドラマは彼女の成長物語でもある。
まず俺は、この主人公サーガに対して苛立ちを覚える。それは、彼女に対する理解のなさに起因する。象徴的なのが「救急車は法に違反する」事件。救急車で橋を渡りたい老婆がいた。だが橋は先の殺害事件で封鎖されてしまっている。マーティン刑事は見かねて救急車を通させるが、サーガはそれを規定違反だと咎め報告書まで提出する……。彼女は明らかに問題がありすぎで、人に対しての思いやりが全くないように見える。人に聞かれたくない類いの話を人前で平然としたり、物事をずけずけと言いすぎたりして、周囲からの反感を買う。目の前の人間に対する思いやりよりも、事件の解決を優先する。カウンセラーとかそういう職業には全く向かないタイプの人材だ。俺はサーガの相方マーティンに共感する。マーティンは酸いも甘いも噛み分けたベテラン刑事で、空気の読めないサーガに諭すように接する。
だが最終話の頃には、このサーガというキャラクターが、めっきりお気に入りになってしまう。彼女に幸せが訪れてほしいと願う。こんなことはなかなかない。成長物語の中で、サーガは最高のキャラクターに仕上がっている。


以下ネタバレあり

言えねえよなぁ

みんながみんな、真実を聞きたいわけじゃないんだ……
そうマーティンに言われたことを、サーガは心に留めていたのだろう。

最高のクライマックス。
事件の真犯人に息子を誘拐され、怒り狂うマーティン。そして橋の中(支える部分?)で、マーティンは真犯人を撃ち殺そうとする。サーガはその現場に駆けつけ、息子を見つけた、と言い、もう撃つな、とマーティンを諭す。
マーティン「息子は生きているか?」
サーガ「生きてる」
マーティン「本当に生きているのか!」
サーガ、顔面を歪める。俺は感極まり涙を流す。
これは……今でも思い出せる。言葉にし難い気持ちにさせてくれた名ラストシーンだ。正直他のシーンがあまり覚えていないのだが、このシーンだけは格別で、最高だった。

あー、もっかい見返したいなぁ。S2以降とか結局見てないし。
このドラマ、提起する社会問題がなかなか面白くて惹かれるわけだが、それを考えた真犯人の動機は外野からみたらしょうもない(当人たちにとってはもちろんしょうもなくない)個人の問題に起因しているというのも、ニクい演出だ。
北欧産の、傑作ドラマです。

THE BRIDGE/ブリッジ DVD-BOX

THE BRIDGE/ブリッジ DVD-BOX

『高い城の男』S1感想。レトロ・フューチャーの素晴らしき世界とそこに溜まった澱

第二次世界大戦でもしナチス大日本帝国が勝っていたら?
その手合いの作品がコレ。『高い城の男』はAmazonPrimeVideoの限定配信ドラマで、歴史上でも屈指のIF世界を提示する。
世界はもうドイツと日本の意向を無視してまわることはできず、アメリカの領土はブレッドを切り分けるかのように分割されている。善良なるアメリカ国民は、抑圧されて日々を過ごしている。そういう世界だ。主人公は、その世界を変えられるかという戦いに身を投じることになるのだが…

――↓ネタバレなし↓――

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↑トレーラー。

まず映像が良い。
レトロな風景。クラシカルな小物。IF世界が舞台なだけはある。そういったものに溢れた独特の世界観を見せられる。照明は明るすぎず、異文化混じり合った独特の景観が幻想的な気分に浸らせてくれる。
これはこのドラマの最大の「美」だ。見ていて、飽きない。この世界のことがもっと知りたくなる。

とはいえ連続ドラマにおいて大切なのはキャラクターだ。ろくでもないキャラクターばかりなら、他がいかに素晴らしくてもどこかで萎えてしまう。
主人公は中年女性で、後先を考えずに行動してしまうタイプだ。最初はまだいいが、話が進むにつれて、そろそろブレーキをかけてほしいと誰もが思うことになる。運転で言ったら、だいぶ横着なドライバーだ。公道を走ってほしくない。だがまぁ、そこは大目に見なくてはならない。彼女が主人公であることは変えられない。
スミスというナチスの上官などはなかなか興味深い人物だ。彼のことはもっと知りたくなる。自分に正義がある、自分のやってきたことには意味がある、自分の任務は世界を幸せにするためにある、と信じてはいるものの、もちろんそれは歪んでいる。だが彼をナチスのクソ野郎と一言で切り捨てられないのも事実だ。職務に忠実で、家族には愛情をもって接し、ナチスでさえなければ…みたいなキャラクターに仕上がっている。だがそれが魅力だ。彼のような魅力的なキャラクターがいると、もっとドラマの続きを見ようという動機が強まる。


――↓ネタバレあり。注意↓――

誰か彼女を止めてもらえませんか?

本作の主人公のジュリアナは、明らかに周囲に不幸を振りまいている。
大局的な視点で見れば、今後ジュリアナが大きな花火を打ち上げてくれることは間違いない。ただし、S1での彼女の行動は、主人公としてはあまりにもおぼつかないものだった。かわいいからって何をしても許されるのか!?
彼氏のフランクを絶望のどん底に叩き落した件では、不快ではあるものの、まだ、仕方のないことだ、彼女はあまり責められない、という立場でいられる。
彼の妹と姪と甥は殺された。理由は彼が、重要なアイテムを保持したジュリアナの行き先を憲兵隊に教えるのを拒んだから。これは不幸な事件だった。実際に何が3人を殺したか? ガス? 木戸警部? 日本? ジュリアナの情報開示を拒んだフランク? あるいはジュリアナ? どれもそうだ。いずれにしても、彼女の行動は少しばかり、軽率だった。日本が血眼になって追っているフィルムを持つ彼女が行方知れずとなれば、同棲してるフランクに危険が及ぶのは誰だってわかる。フランクも奇跡的に助かってはいるが、本来なら殺されていた。フランクが一命をとりとめたのも、別にジュリアナのおかげというわけではない。それは偶然だった。秤が不幸に傾きすぎなかっただけだ。物語の序盤で、主人公はまだ自分のことしか頭にない子供だった。この一件で、フランクは日本に復讐を誓うようになる。そしてジュリアナからしたら、自分の行動が不幸を招きかねないというわかりやすい教訓になるはずだった。
しかしジュリアナは……学ばなかった。

ジョーに言いくるめられてレジスタンスを裏切った。いや、気持ちはわかる。ジョーが良い奴なのは間違いないし、彼にジュリアナを守る意思があることも。本能に従えば、殺せるわけがねえ。だがジュリアナは経験から、この世界では権力がどれだけものを言うのか、理解しているはずだ。そもそも、そうでなければ彼女の行動の動機を失う。フィルムすら奪回できない。それでいいのか! 当然よくない。これでは彼女の大義名分は失われ、全てを台無しにしている。
フランクたちだけが彼女に振り回されてはいない。
俺も彼女に振り回されている。
一体これからどうなってしまうのか?
彼女のふらついた運転で、どこへ向かうのか?

それにしても脇キャラが魅力的だ。
先述したがスミスが面白い。恐ろしく有能な男だが、可哀想な部分もある。話の後半になると、息子が筋ジストロフィーだと判明する。病気系はやめろ。まず絶対に泣く。しかも病気がじわじわ進むタイプだから、俺はもう駄目だ。観る前にそういう雰囲気があるなら警戒もできる。だが既にドラマに夢中になっていて逃げられない。俺は罠にかかったネズミのようなものだ。奇跡的に治るということは考えられず、スミスがどういう選択をするのか、俺は固唾を飲んで見守ることになる。

AmazonPrimeVideo限定配信ドラマも質が高くて面白いものが本当に増えている。
まあこれは結構前からのスタートで、シーズン3まで今はあるけど。マーベラス・ミセス・メイゼルやジャックライアンもそのうち感想書きます。
高い城の男、面白いです。

Amazonプライム・ビデオ

Amazonプライム・ビデオ